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両生類&爬虫類の飼育

ある限られた狭い空間に閉じ込められて生活をしなければならないペットとしてのこれらの動物達にとって飼育環境は極めて重要である。両生類・爬虫類の病気の多くは、飼育環境の不適切からくるものが多い。温度・湿度・照明・床材・食餌などそれぞれの種に最適の環境を提供しなければならない。

照明 光の効果
1 動物を観察するため。 → 熱帯魚用照明灯
2 熱源として動物を保温するため。飼育環境・気象の創造 → ヒヨコ電球
3紫外線の生物学的作用(ビタミンDを活性化してCaを骨に沈着させる)→紫外線灯
4繁殖には年間を通じて日の長がさを自然に近く調整が必要。長日性、短日性
5 消化を助ける。→スポットライトでケージの一部分だけ加温。

紫外線の生物学的活性
食べ物のなかに含まれるプレビタミンDは紫外線に当たるとビタミンD3に変化する。これが血中のリンやカルシュウムを骨に沈着させる。薬物としてのビタミンD3はその個々の個体の要求量や品種による要求量は確立されていない。したがって、薬としてビタミンD3与えると過剰症に陥り安い。ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種で、体内に取り込まれると脂肪組織に沈着する。そして徐々に生物学的効果を発揮するが、万一過剰に投与されると激しい副作用を表す。この時は治療法がない。
1 ビタミンDの合成
特に重要なのはVD3の合成で、紫外線の波長域220~320nmが有効である。最も生物学的活性が高い領域は250nmであるが、太陽光が地上に到達した時点ではこの短い波長域は吸収を受けていまうので恐らく300nm付近が利用されていると思われる。ガラス越しでは吸収されて無効である。         nm=10億分の1メートル

紫外線源の種類
a 日光→理想的である。日陰も同時に作って過被曝(火傷・角膜炎)を避ける。
b フルスペクトルライト→少しの紫外線を含むので、つけっ放しにして使う。完璧な日光浴を再現できないが、紫外線量が少ない分、過被曝の心配がない。
c 紫外線灯→線量が多く過被曝をさけるため短時間だけ照射する。人体にも影響ある。紫外線灯で有効波長域の照射できるものは、東芝FL20S・Eまたは東芝GL20がある。殺菌灯ともよばれるまのであるから、人に対する被爆とくに網膜への影響をつねに考慮しなければならない。  
d ブラックライト(東芝・NEC製)→波長域がやや高いところにあるのでメラニン色素が増えて動物が黒ずむおそれがある。つけっぱなしで使う。皮膚が黒くなると有効紫外線の体内到達が不十分になるかもしれない。

紫外線から見た飼育環境の工夫
a 爬虫類の一部は十分に紫外線を浴びると、回避行動を取るものがある。紫外線量を感知できるのか、体温上昇に伴う行動なのかも知れない。この回避行動をとるまでの時間を測定して
紫外線灯の照射時間を決め、タイマーをセットする。
b 完全に日陰となるいわゆるシェルター部分を設ける。せまい空間では回避ができないかもしれない。頭を隠せても、尾部分が照射されつづけるかもしれない。
c 通常のガラスは厚くなるほど、また波長が短くなるほど吸収され安くなる。厚さ3mmで波長320nmの紫外線を80%遮る。したがって、ケージの上蓋を厚さの異なるガラスとするのも一つのアイデアとしてよいかも知れない。
dランプからの距離の二乗に比例して減衰するので、ランプを天井部分に設置するのも良い。しかし、ケージの高さの制限を受ける。
eランプは長時間使っていると、波長の短い方から出しにくくなるので、明かりはついているが有効な紫外線が出ていないかもしれない。 
f以上の様に紫外線照射に対する安全で確実な方法が確立されていない現状では各自で工夫するしかない。

フルスペクトルライト
有効紫外線の強度こそ、紫外線灯には及ばないものの、つけっ放しで使用しても安全性に優れている。
骨の代謝からだけ考えたならば300nm付近の紫外線の線量に目がいくが、生物がたったそれだけの目的で日光浴をしているとは思えない。まだまだ未知の分野であるが、太陽光のさまざまな波長の光線をさまざまな目的に利用していると推察される。
自然の太陽光に勝るものは無く、野外で飼育され日光浴が自由にできることが理想的である。
それ故、ケージ内の動物には太陽光に代わるすべての波長を含む人工灯フルスペクトルライトが必要である。

人工灯の科学
A 色温度例えば鉄の塊を熱して行くと、最初は赤くやがて黄→白→青白と変化してゆく。この変化を利用して温度で光の色を表したのが色温度という。従って、色温度が高い光は青白い光、低い光は赤っぽい光として感じる。
B スペクトルエネルギー分布図(相対エネルギー表)
人工灯の発する光線の各周波数(横軸)ごとの分光照射エネルギー(縦軸)で表した人工灯の能力表。特に問題となる紫外線300nmの分光エネルギーのワット(W)である。
C 演色評価数(自然光近似度 %、演色指数)
同じ色のものでも照らす光が変わると見え方が変わる。このような見え方に及ぼす光源の性質を演色性と言う。特定の基準色紙に自然光をあてた場合を基準(100%)として、ずれを%で表示したもの。
D 紫外線領域の放射区分人体や植物等の生物の反応や化学物質の反応のピークがどの波長域にあるかをもとに区分されている。いずれの反応も分光出力量に比例する。

波長100〜280nm=UVC → 殺菌作用・紫外線眼炎
280〜315nm=UVB → 紅斑作用(日焼けで赤くなる)と、

→ それに伴うメラニン沈着
→ ビタミンDの光化学開裂
→ Caの吸収に不可欠 320〜400nm=UVA
→ 紅斑を伴わないメラニン沈着
→ 色素の色褪せ促進
→ 物体の硬化作用
→ 爬虫類の脱皮に不可欠
以上の事柄を爬虫類・両生類に当てはめると結局、300nm付近の紫外線がどのくらい出力(wat表示)されているかが問題で、そのうえ全波長の分布が太陽光に近いことを確認する必要がある。

 

ホット・スポットの設置
1 両生類・爬虫類はその体温は環境の気温と同じで、代謝速度はしたがって気温と連動している。各種酵素類には至適温度があり、通常は30℃以上でよくその作用を発揮する。
2食べた餌は胃で消化し始めるが、この時温度が高いほど早く消化がすすむ。ワニやカメが陸に上がっていわゆる甲羅干しをしているのは太陽の光で自分の体温を上げて消化を助けているのである。
3赤外線ランプなどでケージの一部分をケージ自体の設定温度以上に暖める目的で用いる。
  その目標温度は30〜40℃位になるように設定する。
4この場所には平らな石やレンガをおいて腹部も下から暖められるようにするとよい。食餌前後の3〜4時間程度つけておく。しかし、ケージが小さいときはこのため高温になるので注意。
5 暖房目的ではないのでケージ内に温度差があることが重要である。 

保温
それぞれの動物の本来棲息している地域の温度を再現する。ヒヨコ電球・赤外線ランプ・園芸用温風ヒーター・パネルヒーターなどが使われる。水温の調整には熱帯魚用の各種ヒーターが使われる。直接動物が触れる恐れのあるときはカバーをつけること。
サーモスタットを接続して温度を設定調整する。必ず温度計を動物が主に生活している高さに設置して測定・確認する。
ヒーターは温度勾配を作るため、ケージの真ん中に設置せずに片寄らせて置くとよい。しかしケージ内の最低温度部が生活限界温度をしたまわらないように注意。動物自体である程度温度調節できるようにする。

〇 ガラスの特性として日光中の紫外線を遮蔽するが、生物活性の領域である300〜315nm範囲はおおよそ10%透過する。この値は市販のフルスペクトルライトのRETISUN 5.0UVB20Wを高さ30cm所から照射した場合の約1/10である。
〇 農業用温室素材のニューサンコール は日光の紫外線の65%は透過すると言われている。これらの材料を利用して太陽光を利用することが出来る。

ダクタリ動物病院 大宮病院 
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